甲状腺腫瘍について
甲状腺とは
くびの前面、のどぼとけの下に位置し、縦横4cm、重さ15~20g程度の臓器です。
甲状腺は甲状腺ホルモンを産生しています。
甲状腺ホルモンは、体の代謝や細胞の成長に影響しています。
甲状腺の病気
甲状腺にはいろいろな病気がありますが、大きく分けると2つになります。
一つは甲状腺ホルモンの量が多い、少ないという甲状腺の機能の異常、もう一つは甲状腺のできもの(甲状腺腫瘍)です。
1 甲状腺機能異常
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されたために、動悸、息切れ、発汗増加、手の震え、体重減少などが現れます。- 代表的な病気
- バセドウ病、亜急性甲状腺炎、機能性甲状腺結節
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが不足した状態で、疲れやすい、抜け毛、むくみ、無気力、体重増加などの症状が現れます。- 代表的な病気
- 橋本病(慢性甲状腺炎)
2 甲状腺腫瘍
甲状腺にしこり(腫瘍)ができた状態で良性腫瘍と悪性腫瘍に分かれます。
腫瘍が大きくなれば、くびが腫れたという自覚症状がありますが、多くは無症状のことが多く、のどの違和感で受診され、発見されることが多いです。
悪性の場合で進行したものは声がれ(嗄声)が出ることがあります。
悪性の場合は手術での治療が必要になります。
良性の場合は基本的に手術をしなくても良いですが、かなり大きくなった場合には手術をお勧めする場合もあります。
濾胞腺腫は細胞診で濾胞癌との判別が難しく、手術をおすすめすることが多いです。
- 代表的な良性腫瘍
- 腺腫様甲状腺腫(過形成)、濾胞腺腫
- 代表的な悪性腫瘍
- 乳頭がん 濾胞がん
甲状腺の検査
1 血液検査
甲状腺ホルモンに異常がないか、機能異常がないかをチェックします。
甲状腺腫瘍の場合にはサイログロブリンなどの腫瘍マーカーをチェックします。
2 エコー(超音波)検査
甲状腺自体の大きさや、血流の状態、甲状腺腫瘍の有無をチェックします。
甲状腺腫瘍の場合は大きさや、個数、ある程度の良性と悪性の推測に役立ちます。
3 細胞診
甲状腺に細い針を刺し細胞を採取して、良性悪性の判断をします。
超音波検査で良性と判断されるものや大きさが小さいものについては、実施せず経過をみていきます。